東京高等裁判所 昭和31年(う)722号 判決
被告人 野寄藤一
〔抄 録〕
弁護人の論旨第一点について。
なる程、原判決が被告人につき認めた窃盗罪中犯罪事実一覧表第一の2の犯行場所として「同市福島町温室内」、同表第二の6の犯行場所として「浜松市幸町地内中電電柱」、同表第二の8の犯行場所として「浜松市米津海岸」、同表第二の11の犯行場所として「同市幸町中電電柱」、同表第二の16の犯行場所として「字布見田甫中」と各表示するのみで字地番等の記載を欠くことは所論の通りである。然し有罪の言渡をする場合に於ける罪となるべき事実としての犯罪の場所の記載は、裁判管轄を明らかにし、犯罪の日時、態様等と相俟つて犯罪事実を特定し得る程度に判示するを以て足るものと解すべきところ、本件に於ては前掲各犯罪事実一覧表中の該当欄に於て各犯行の日時、被害者、被害品が表示されていて、これ等と所論の各犯行場所の記載とを綜合することによつて、各具体的な窃盗の事実を認識することができるのであるから、原判決には何等所論の如き犯罪事実の特定を欠き、延いて判決に理由を附しない違法はなく、論旨は理由がない。
(中西 山田 石井謹)